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芝 grasses

芝草の種類

    ゴルフ場では主にイネ科芝草を用いる。イネ科芝草は、生育適温と使用地域から、 暖地型芝草 (warm season grass) と寒地型芝草 (cool season grass) の 大きく2種に大別することが出来る。系統分類上は、前者がスズメガヤ亜科とキビ亜科であり、わが国においては沖縄県を除いて冬季に休眠する。後者はすべてウシノケグサ亜科に属する。
    芝草の進化は、元来温暖で湿潤な気候下のイネ科原始型から、適応型キビ亜科が分化し、その後乾燥地への適応型としてスズメガヤ亜科が、寒冷地への適応型としてウシノケグサ亜科がそれぞれ分化したと考えられている。

    日本芝、西洋芝と言う場合、前者は地域適応型のスズメガヤ亜科の主にシバ属の芝草を指し、西洋芝には、正確にはそれ以外の暖地のキビ亜科、中間型のスズメガヤ亜科、寒冷地のウシノケグサ亜科の芝草を含むが、通常は、わが国において通年常緑となるウシノケグサ亜科の芝草を指すことが多い。これを称して常緑型芝草と呼び、これに対してスズメガヤ亜科、キビ亜科の芝草を夏緑型と称する。

    シバの種類と特徴の簡易表

    暖地型シバ 日本シバ ノシバ シバは粗剛で、幅4mm以上。比較的密度の低い芝生になる。公園、道路の法面などに使用。
    コウライシバ 葉幅1.2から3.9mm。密度の高い芝生で、庭園などに利用。細葉はゴルフ場のグリーンにも使用。
    ビロードシバ コウライシバよりさらに細葉で、幅0.7から1mm。きめ細かいが性質は弱く、耐寒性を欠く。
    西洋シバ バミューダグラス類 暖地型芝の代表種だが日本での知名度は低い。甲子園のティフトンシバはこの仲間。
    寒地型シバ 西洋シバ ベントグラス類 葉が細く柔軟で、最も美しいシバといわれる。低刈りに強く、ゴルフ場のグリーンに使われる。
    ブルーグラス類 代表種・ケンタッキーブルーグラスなどは日本の寒冷地の芝として使われる。
    フェスク類 広葉系のトールフェスクは道路の法面など、細葉系はゴルフ場などで使われる
    ライグラス類 ペレニアルライグラス(多年生)とイタリアンライグラス(1年生)などがある。

暖地型芝草の特長

    世界の温帯から熱帯にかけて使用され、生育適温は25〜35℃である。日本では夏緑型、夏芝とも言う。全てC4植物。一般に使用されているものは栄養繁殖系が多い。

     暖地型芝草は、生育適温を見てもわかるとおり、夏に最もよく成長し、冬には茶色く枯れてしまいます。枯れているといっても、表面上だけが枯れ、地中の根や茎には栄養を蓄え、休眠するのです。暖かくなり始める春先から少しずつ活動を始め、夏に最もよく成長します。もう一つの特徴は繁殖の仕方です。夏芝は、ほふく茎又は根茎と呼ばれる茎を地上あるいは地下から伸ばして、地表面を覆うように繁殖します。

    スズメガヤ亜科の芝草は、比較的耐寒性があり、植栽可能地域が熱帯〜亜寒帯と広く、世界的にも多く使われている。キビ亜科は耐寒性が乏しいため、熱帯・亜熱帯を中心に使用される。日本では沖縄県で一部使用されている。

暖地型芝草の品種

    バミューダグラス類 (ギョウギシバ属 Cynodon)

    世界的には暖地で最も重要な芝草である。繁殖力が旺盛で、モアに付いた刈カスでも繁殖するので、管理作業において注意が必要である。栄養繁殖系統と種子繁殖系統があるが、種子繁殖の場合、発芽に高温が必要であり、日本ではターフになる前に夏が終わるので時間がかかる。 夏期の旺盛な繁殖力を活用して、ウィンターオーバーシードのベースとして利用される。

    アフリカ原産のバミューダグラスは1751年はじめて芝草として導入されたが、使用されたのはセントルイス (St. Louis) という品種が1920年頃にフロリダで植えられたのが最初である。本格的な育種が始まったのは1946年からで、ジョージア州のティフトン農試である。交雑を行い、1952年よりティフファイン(Tiffine)、ティフグリーン(Tifgreen Tifton328)、ティフウェイ(Tifway Tifton419)、ティフドワーフ(Tifdwarf)、ティフウェイIIなどが作出された。ティフトン農試の品種はいずれも雑種F1で3倍体であり、不稔性を持つ。そのため栄養繁殖しかできない。

    現在、バミューダグラスの育種は種子系が主流であり、種としてキメの細かさが育種目標となっている。

    ノシバ  シバ属シバ(Zoysia japonica)

    北海道以南の日本全土で見られる野草ですが、いわゆる芝生としても古くから人々に親しまれてきました。万葉集で「みちのくのしばくさ」と詠まれたものが、ノシバのことをさしているのかどうかには疑問がもたれていますが、「作庭記」(日本最古の造庭書)に記されている「しば」は、明らかにノシバのことだとされています。
    ノシバは現在でも公園や庭園の代表的なシバですが、自然放牧地などの形で野生のシバ地が各地に点在しています。コウライシバに比べると寒さに強いので、東北地方などではよく利用されています。

    コウライシバ  シバ属コウシュンシバ(Zoysia matrella)

    ノシバより葉が細く、草丈も低いシバですが、ノシバがほぼ全国的に自生しているのに対し、コウライシバは九州の一部にしか自生していません。現在では、ノシバ以上に利用度が高く、建売住宅の植栽には必ずといってよいほど用いられています。
    コウライシバにははっきりした品種や系統がありません。古くから東京高麗や熊本高麗など産地の呼び方で区別されていましたが、品種というほど明確なものではありません。現在では葉の幅から、一応次のように分類されています。

    ノシバ・・葉幅4mm以上
    ヒロハコウライシバ・・葉幅3.3から3.9mm
    チュウバコウライシバ・・葉幅2.6から3.3mm
    ホソバコウライシバ・・葉幅2.0から2.6mm
    ヒメコウライシバ・・葉幅2.0mm以下

    (注)ただし葉幅は刈り込みの頻度など管理方法によってかなり異なってくるので、この分類はあくまで便宜上のものでしかありません。

    皮肉な話ですが、アメリカではノシバやコウライシバが、きちんとした形でいくつか品種登録されています。ケンタッキーブルーグラスやライグラスの品種改良に混じって、ノシバやコウライシバの品種改良も盛んに行われています。慢性的な水不足に悩まされているアメリカでは、ノシバやコウライシバのきわめて乾燥に強い性質が、大きく注目されているのです。最近になって日本でもノシバの品種が登録されるようになりました。

    ビロードシバ  シバ属コウライシバ(Zoysia tenuifolia)

    正式の植物名と一般の呼び名が異なっているため紛らわしくなっている。

    ティフトンシバ

寒地型芝草の特長

    冬季休眠する暖地型芝草に対して、常緑型芝草、冬芝とも呼ばれる。 C3植物で生育適温は15〜22℃であり、25℃を超えると光合成量より光呼吸量が多くなり、サマーデクライン (夏期衰退現象) を起こす。また、高温多湿時の罹病性も大きい。

     冬芝は、夏芝とは逆に生育適温が低く、秋季から春季にかけて最もよく成長します。 寒地型芝草の使用によって、冬季の使用におけるすり切れ等や雑草の侵入も少なく、見た目にも美しいため需要は多いが、窒素や水の要求量も多く、暖地型が休眠する冬季の刈込み作業も必要でランニングコストは暖地型の2〜3倍となる。繁殖方法は種子で繁殖します。

    日本では種子繁殖が大半であるが、栄養繁殖もゴルフ場の管理作業を中心に行われており、今後スポーツ・フィールドなどで増加すると思われる。種子繁殖は数種のミックスが通常で、単播においても2〜4品種の混合で行われる。

    牧草として品種改良が進んできたが、近年は芝生用の品種も数多く作出されている。その中には、不稔性を持つものがあり、栄養繁殖系となっている。

寒地型芝草の品種

    ベントグラス類 (コヌカグサ属 Agrostis)

    芝草の中では最も美しく、繊細なターフを形成する。レッドトップ、コロニアル・ベントグラス、クリーピング・ベントグラス、ヴェルヴェット・グラスの4種がある。一般に浅根性のため、高温旱魃に弱く、暖地では夏枯れを生じることが多い。

    クリーピング種は長いほふく茎を有し、種子繁殖するものが多く使われているが、改良のため不稔性を生じたものもあり、栄養繁殖品種もある。ゴルフ場のグリーンに用いられ、品種も最も多い。Penncrossが有名であるが、Seaside、Prominet、SR1020、Penneagleなど、多くの品種が使用されるようになってきた。近年、アメリカ暖地での育種品種がいくつか作出され、耐暑性の向上を期待されている。

    コロニアル種は種子繁殖で、短いほふく茎を生ずることもあるが、株状を呈するものがほとんどである。寒冷地において、フェアウェイ、ラフに用いられることもあるが、オーバーシード用にも使用される。

    クリーピングベントグラスが育種の主流であり、アメリカで当初ゴルフ場の生態型を母材にした栄養系の育種が行われ、アーリントン(Arlington)が1928年に選抜され、その後、オールドオーチャード(Old Orchard)など多くの品種が育成された。種子系ではオレゴン州の生態型そのままが1923年にシーサイド(Seaside)として登録されたのが最初である。しかし、1954年、種子系のペンクロス(Penncross)が育成された後は全世界で使用され、長い期間独占状態が続いた。ペンクロスの生育旺盛でマット化し易い欠点があるため、1978年に草勢のやや弱いペンイーグル(Penneagle)やペンリンクス(Pennlinks)が育成された。高温抵抗性、病害抵抗性が主な育種目標で、アメリカ及び欧州で多くの品種が育成されている。 日本でも耐病性、耐暑性の向上を目標に、育種が行われているが、現在のところ栄養繁殖系が主である。

    コロニアルベントグラスではハイランド(Highland)、アストリア(Astoria)、ベルベットベントグラスではパイパー(Piper)やキングストン(Kingston)などいくつかの品種があり、育種も行われているが、日本では利用が少ない。

    ライグラス類

    イタリアンライグラスは1年生のため初夏に枯れてしまい、夏に最も弱いとみなされています。

    ペレニアルライグラス

    擦り切れや踏圧からの回復が早く、まさにスポーツのために生まれた芝といえます。葉は濃緑色で光沢があって柔らかく、刈り込みによって芝が倒れやすいタイプです。このため刈り込み方向で光の反射が異なり、シバの色合いが変わってストライプ模様ができます。他の西洋シバでもできますが、オーガスタゴルフクラブの風景の美しさからもこの品種の美しさを物語っています。

    ブルーグラス類

    ケンタッキーブルーグラス

    国内では北海道のゴルフ場に多く、白樺と調和した美しい芝生が広がっています。

    フェスク類

    「風の大地」(作:坂田信弘)で全英オープン、ターンベリーに出場した時に、ラフに生えていた「フェスキュー草」はこの種類のことだと考えられる。
    根元の部分が株状になっていて、根っこごとぶち抜かなければボールなんて出ません。

    トールフェスク(広葉フェスク)

    寒地型の中では最も葉が広く、葉の縁がススキのようにざらざらで粗剛です。また最も環境適応性が強く、根が深くまで張り、肥料も水も少なくて済む芝です。ラフに良く使われます。

ウィンター・オーバー・シーディング方式(W・O・S) 

    冬はゴルフ場のフェアウェイの芝が枯れてるのに、グリーンだけはなんで青々しいのか。その答えがコレです。一年中枯れない芝草を作り出す方法なのです。名づけて「冬にも種をまいちゃうよ作戦」。

    ウィンターオーバーシーディングとは、簡単に言うと二毛作を連想するとわかりやすいです。二毛作は、同じ耕地(畑)に年2回、別々の作物を作付けする手法で、夏季に水稲を栽培し、秋季から冬季にかけて大麦や、小麦を栽培したりします。同様に競技場の芝生も夏季に夏芝、秋季から春季にかけて冬芝の種を蒔くことにより、一年中緑の生きた芝生を育てることができるのです。

    *下の表は、夏芝と冬芝それぞれの生育期間を表したものです。夏芝が最も貯蔵養分を必要とするのは、3月〜5月の芽を出す時期です。赤で示した「更新時期」は、夏芝が芽を出すのを助けるために行われる作業期間です。この期間に冬芝から夏芝への切替えを行います。



    1月
    2月
    3月
    4月
    5月
    6月
    7月
    8月
    9月
    10月
    11月
    12月
    夏芝育成期                        
    夏芝休眠期                        
    冬芝播種                        
    冬芝育成期                        
    更新時期                        

芝生の恵み

    温暖化を防ぐ意味でも芝は大きな役割を果たしています。日光さえ防げば、夏の暑い日でも芝生の上はなんだかひんやりしていることってありませんか。それが芝生の効果なのです。地表面の温度は、太陽エネルギーのやり取りの結果で決まります。日中の芝生では

    収入の部
    1.芝生は受けた日射のうち、約25%は直接空に反射して残りが芝生へ吸収されます。
    2.日射によって暖まった地表近くの待機からの放射エネルギーも芝生へ吸収される。
    支出の部
    3.芝生から土壌中の水分が蒸発することによって熱が奪われます。
    4.大気を暖めることにも熱が使われます。
    5.地中にも熱が伝えられます。

    芝生は植物の蒸散作用によってエネルギーが消費されます。芝生の土壌には水を下部から持ち上げる毛細管や芝の根が張り巡らされているので、エネルギー消費は長く続きます。 森林は根が地中深くまで発達し、また蒸発や呼吸などによるエネルギー消費が多いため、気温を下げる効果が大変大きいわけです。

    しかし、日本の場合、山を切り開いてゴルフ場を建設することが多いため森を失って、芝が生まれたとすると、全体的に見ると効果はマイナスなのかもしれない。

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