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構造 under the green

サンドグリーン床方式

グリーンの芝はフェアウエイやラフの芝と違います。短く刈り、しかも踏みつけ、ボールが落下しても傷つかないという過酷な条件に耐えなければなりません。それに早さも要求されています。管理には灌漑・排水と、より多くの薬品や肥料を使用することになります。グリーンの造成は他の部分と違って基礎構造に大量の労力がかかることになるのです。ベッドにする砂ひとつをとりあげても他の部分とは大違い。砂の形状、大きさ、性格をしっかりと見極めてから決定します。しかも、造成時から少なくとも10年間、同じ砂が供給できるかどうかを確認する作業が残っています。内臓の丈夫な健康人の皮膚が輝くように美しいのと同じで、芝(グリーン)も砂ベッドがしっかりしていれば、よい芝が育つことになるからです。 そのためにいろいろと研究され、いくつもの方法が考案されました。これはそのひとつです。

この考え方は、1960年頃からUSGA(全米ゴルフ協会)のグリーンセクションにおいて砂と土壌改良剤のみの床土を造成する方式として考案されたもので、土壌の固結防止及び透水性の面で注目を集め、ゴルフ場はもちろん、サッカー場などでも採用されています。

玉石層の上には、砂が流れ込まないように透水シートを敷きこみ、下層部分の排水が機能しなくなった場合のことを想定し、排水ホースを埋設します。排水ホースの上に粒径0.5mmの砂を20cm厚で敷きこみます。さらにその上に10cm厚で同じく粒径0.5mmの砂と土壌改良剤を混合したものを敷き込み、砂床の完成です。ここでのキーワードは30cmと0.5o。砂床構造のグラウンドの極意はここにあるのです。

 ところで、表層10cmに砂と混合した土壌改良剤にはどんな意味があるのでしょうか?この土壌改良剤は砂の欠点を補う役目をしているのです。砂は排水が良い。しかし、裏を返せば乾燥しやすいということです。また、水分に溶解している養分も流れやすいという欠点があるのです。その欠点を補うものとして、表層10cm(根が張る部分)に土壌改良剤を砂に混ぜ合わせ、水分や養分の流出を防ぐ働きをします。

砂床にすることによって、芝刈りや散水、肥料散布等の作業を頻繁に行わなければならなくなりました。キーパーの役割は確実に増えましたが、コンディションも昔に比べ見違えるように良くなりました。水たまりができないので、芝生が丈夫に育ち、常に良好なコンディションを保つことができるようになりました。

さらにさらに掘り下げて砂床構造の極意「30p」と「0.5o」のお話。砂床構造のグラウンドには何十年にも渡る研究者(アリ・ハリバンディ博士/カリフォルニア大学)の英知と技術が詰まっているのです。

 この砂床構造には水をコントロールするための様々な工夫がされています。 そしてもう一つ、水を活用するため、芝生の育成を人為的にコントロールするための画期的なシステムが隠されています。

 芝生を育てる上で水のコントロールはとても重要な要素の一つだといえます。水をあげすぎると根が下まで降りず丈夫な芝生が育ちません。いつも表面に水分があると、根はわざわざ下まで降りて水を吸収する必要がないので、根が浅くなってしまいます。乾燥に弱くなるのはもちろん、踏圧に耐えることができません。逆に乾きすぎると葉がしおれてやがて枯れてしまいます。理想の管理は、根をしっかり伸ばして適度な水分を供給する。この「適度」な水管理をするために、極意が必要となってくるのです。

 この極意にはどんな秘密が隠されているか?それは、土壌中に存在するある一種類の水に関係があるのです。水に種類なんてあるの?と思われるかもしれませんが、それでは、これから土壌中に存在するいくつかの「水」について紹介します。

重力水 土壌中を重力によって移動する水
吸着水 土壌の吸着力によって保持されている水
毛管水 土壌の粒子間に保持されている水

 この3種類の水の中で、極意に深く関係がある水、それは毛管水です。毛管水は芝生に吸収される水で、粒子間の隙間を埋めるように上昇していきます。例えば水を張った容器に食器洗いのスポンジを入れてみると、ジワジワと水が上がってある一定の高さで止まります。これを毛細管現象と言います。土壌中でもそれと同じ現象が起きているのです。水を上昇させる力を毛管力と言います。毛管力は、粒子の大きさや形によって強弱の違いが出てきます。大きい粒子は、粒子間の隙間が広いので、毛管力は弱くなり、水の上昇は低くなります。逆に小さい粒子は、隙間が狭いので、毛管力が強くなり、水の上昇は高くなります。砂と土では断然土のほうが毛管力は強くなります。土と砂が混ざっている土壌では、粒径はもちろん、土壌の特質も異なるので、毛管水の動きは複雑になります。土壌性質(土壌の種類や粒径等)が複雑になればなるほど強弱の変化が大きくなります。例えば様々な土壌が混ぜ合わさったようなところでは、場所によって毛管力の違いが出てきます。水分がたくさんあったり、少なかったり、同じグラウンドの中で土壌条件が変わってきてしまうのです。土壌条件が違うということは、場所によって芝生の生育も微妙に変わってしまうということです。同じ種類の土壌、同じ粒径の土壌でなければ、毛管水も均一に上昇せず、土壌条件が均一なグリーンを作ることができないのです。つまり土壌条件が均一と言うことは、芝生の生育も均一になるということです。

図2【土壌中の水分】

 それでは、この「30p」と「0.5o」という数値を砂床構造に当てはめると毛管水はどんな動きをするのか?粒径0.5oの砂で30p厚のグラウンドを作ると、毛管水は、下から20pまで水が上昇することがわかりました。芝生の根は、10pから15pぐらい伸びるので、根が水分を吸収できる位置まで上昇しているというわけです。毛管水の上昇が高すぎても低すぎても、良好な芝生管理はできないのです。高すぎると根は下まで降りる必要はなく、根の浅い、踏圧や擦り切れに弱い芝生になってしまいます。逆に低すぎると根が水分を吸収することができなくなってしまいます。「30p」と「0.5o」にはこのような秘密が隠されていたのです。

(1)有機物分解材
 有機物分解材は名前のとおり、床土に蓄積された有機物を分解する役目をします。張替えなければならなかった原因に「有機物の堆積」がありました。有機物の堆積は、芝生のグラウンドを管理する上で避けられないものですが、この分解材を混合することにより、少しでも堆積を防ぎ、床土を長持ちさせることができます。

(2)多孔質セラミック体
 硬質粒状物。微細な気孔(隙間)があるため、床土中に空気や水分を保持することができます。硬質なため、物理的にも変化が少なく、固結しないのが特徴です。

(3)ピートモス
 ピートモスの特徴は、水分を保持し、保肥力を高めることです。排水がよく、養分が流出しやすい砂の土壌には、欠かせない土壌改良材です。

土と水、これは植物にとって必要不可欠なものです。植物は土に根を下ろし、土から水や空気、養分等を吸収します。しかし、雨が降ると必要不可欠な土と水が厄介者になってしまいます。雨が降ると、グラウンドには水たまりができて、芝生に悪影響を及ぼしてしまうのです。

土壌

土壌は大きく分けて3つの要素で構成されています。その3つとは、固体(土)、液体(水)、気体(空気)です。この3つの要素の容積割合を「三相分布」または「土壌の三相割合」といい、それぞれを固相、液相、気相と呼びます。この三相の割合が植物に対する水と空気の吸収に深く関わってきます。

図で示したとおり、植物にとって理想の「三相分布」は固相50%、液相25%、気相25%となります。この理想値が崩れることにより、水たまりができたり、芝生が十分に生育されなかったりします。では、なぜそのようなことが起きるのでしょうか?

天敵 水たまり

三相分布が崩れる原因はいくつかあります。小さい頃に泥んこ遊びで泥団子を作ったりしたことがあると思います。水を含んだ土は柔らかくなり、変形しやすくなります。それが乾くと硬い土ができあがります。
 土も同じように、管理機械(芝刈機等)の荷重や人が歩いたり走ったりすることで表面がくぼみ、少しずつ締め固められていきます。先ほどの三相分布の図で説明すると、固相(土)が締め固められて密度が増し、その分、気相(空気)が押し出され密度が減った状態になります。気相(空気)が減るということは、水が通る隙間が少なくなり、排水が悪くなるということです。くぼみができたところは、低くなり、水が流れ込みます。くぼんだ部分は気相(空気)が低下しているため流れ込んでくる水を排水できず、水たまりになってしまいます。これが水たまりができる仕組みです。

水たまりは主に人の出入りが多いところにできます。人が密集するので土壌が固められるのはもちろん、芝生の生育にも良くありません。人が密集すれば、芝生はそれだけ削られます。芝生が自分で回復しようとしても、土壌が固まっているため、十分に根が下ろせず、生育に必要な水分や酸素を吸収できないという芝生にとって最悪の生活環境になってしまうのです。

 つまり、水たまりが解消できれば、芝生の痛みも少なくなり、コンディションを良くすることができます。さて、そこでキーパーは、排水を良くするためにはどんな方法をとったのでしょうか?

一般的な方法としては、表面排水というやり方があります。これは、表面に勾配を付ける方法ですが、極端にいうと表面をかまぼこ型にするという方法です。 もう一つは表面の水を吸い上げてしまうというものでした。大型の吸水ローラーで走行し、芝生面の水を吸い上げてしまうというものですが、吸水するそばから雨が降っていたのでは何の意味もありません。それなら、穴を開けて配水管まで直接水を流してしまおうという方法もとられましたが、雨が降るたびに穴を開けていたら、芝生が傷つき良好なコンディションを保つことはできません。結局どの方法も一時的な排水になるだけで、水を排除し、コンディションを常に良好に保つという根本的な問題の解決策にはなりません。

 これでは、まるで水が悪者になってしまいます。水は植物にとって必要不可欠なものなのに…。どうにかして排水が良くて、コンディションを良くできないだろうか?これを解決するのが冒頭のサンドグリーン方式です。

砂と土の違い

 ところで、なぜ砂は土と違って排水性が良いのでしょう?砂と土の違いについて2つの要素から検証したいと思います。まず、土壌の区分の基準をご説明しましょう。
 土壌は粒子の大きさ(粒径)によって、区分されています。粒径が小さければ小さいほど、粘土質の高い土壌になり、粒径が大きくなるにつれて砂に近い土壌になります。日本では粒径0.05oを境にその区分がされています。

表1【粒径区分表】


 上の図の粒子が細かいものは、粘土質で形成されています。粘土質の土壌は水分や養分を吸着する力が強いので、保水力、保肥力がある反面、排水性が悪いという欠点があります。逆に粒子が粗いもの(砂)は、粘土質が少ないので排水は良好になります。しかし、排水がよい分乾きやすく、栄養分も流出しやすいという欠点があります。

 もう一つの要素は、土壌の構造の違いです。土壌の粒子には単独にばらばらで存在する「単粒構造」と、いくつもの粒子が集合して形成されたものがさらに固まって存在する「団粒構造」があります。

 砂は一つ一つの粒子が大きく、ばらばらに存在します。土は粒子が小さく、その粒子が寄り集まって存在します。そのため、砂は土に比べ変形しにくく、粒子間のすきまが広いのが特徴です。一方土は、変形しやすいので、空隙が広くなったり狭くなったりします。それだけ、芝生管理機械の荷重や踏圧に対して影響を受けやすいということです。


表2【砂と土の特性比較表】
それぞれの特性
砂  ・粒子が粗い

 ・排水性が良い

 ・乾燥しやすい

 ・単粒構造
土  ・粘土質が多い(粒子が細かい)

 ・変形しやすく、排水性が悪い

 ・保水・保肥力がある

 ・団粒構造

 国立競技場で使用されている砂は粘土質が付着していません。砂を採掘する際にある工夫がしてあるのです。この砂は千葉県の木更津の山から採掘されます。山の地層から色で判別し、黒目土砂と呼ばれる砂を採掘します。採掘したばかりの砂には粘土質や不純物が混ざっています。この砂をそのまま使ってしまうと、不純物により砂の機能(排水の良さ)が落ちてしまいます。また、粒径も揃っていないため、目詰まりを起こしてしまう可能性があります。そのような事が起きないように、採掘された砂は水で2度洗いし、さらに粒径(0.5o)を揃えるためにふるいにかけて同じ粒径のもので造成しているのです。ちなみにこの砂山は、100年採掘し続けてもなくならないくらい沢山採掘できるそうです。

 

 

 

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